筆者の考え / 03
仕事を守るための保護は、要らない
これは事実の説明ではなく、筆者の考えです。
筆者の考え
仕事を守るために、AI の学習や使い方を縛る保護は要らない、と考えています。
相手の主張
声の仕事をする人の団体(日本俳優連合)は、次のように求めています。
- 「表現」の分野では、人間の代わりとして AI が表現してはならない、と決めること(情報の伝達はよく、福祉の用途は除く)。あわせて、学習に使えるのは著作者が許可したものだけにすること、「声の肖像権」の新設も求めています(生成系AI技術の活用に関する提言、2023-06-13)。
- 声の作品の制作では、人間の実演家の起用を最優先すること(第5条)。アニメや吹き替えなど演技の分野では、原則として AI で実演家の代わりをしないこと(第14条)。完全に人工の声で人間の役を代えるときは、団体などで作る協議の場の承認を前もって得ること(第20条)。学習・生成・公開のどの段階でも事前の許諾を得て、段階ごとに対価を払うこと(第8条・第16条)(音声に関する生成AI利用ガイドライン、2026-10-15、全文の PDF)。
絵の分野でも、「声」を「絵」に置き換えた同じ主張を見かけます。ここでは、こうした主張だけを取り上げます。
AI が人の代わりに表現することに、価値がある
翻訳とプログラミングでは、すでに AI が人の代わりに書くことが広がり、多くの人がその恩恵を受けています。どちらも、言葉や仕組みを表す、表現の仕事です。
だから、「表現」の分野で人間の代わりに AI が表現することは認めない、という主張には賛成しません。作りたいのに作れなかった人が、AI で作れるようになることにも、もう作れる人が、AI を使って作ることにも、価値があると考えるからです。筆者も、プログラミングを AI に任せています。声の仕事をする人も、AI を使って仕事をすればよい、と考えます。依頼や素材が安くなることは、時代の変化だと考えます。
学ぶことに罪はない(筆者の考え01)ので、学習に許可と対価を求める仕組みにも賛成しません。なお、学習ではなく、生成や公開に対価を求めることは否定しません。たとえば、AI サービスが料金を取ることや、公開に有償の商用ライセンスを求めることです。
仕事が減ることは、道具を縛る理由にならない
収入が減る人がいることは、否定しません。それでも、それを理由に道具を縛るべきではない、と考えます。
仕事が減ることを、個人の問題ではなく社会の問題として扱うなら、それは道具を縛ることではなく、社会保障などの場で話すことです。仕事は社会のためにするものです。仕事を守るために社会を縛るのは、本末転倒だと考えます。
関連する説明
事実と根拠は、次の解説にあります。