よくある誤解 / 19
AI生成物の商用利用は全部禁止? 有料なら何でも売れる?
AI生成物の商用利用を一律に禁止する説明も、支払えばすべて自由という説明も正確ではありません。
もう少し詳しく
AI生成物の商用利用を一律に禁止する説明も、支払えばすべて自由という説明も正確ではありません。 モデルやサービスの利用条件と、入力・出力に関わる第三者の権利を確認します。出力に著作権が生じるかという問題とも別です。
なぜ無料・有料だけでは判断できないのか
一例として、Stability AIの公式サイトに掲載された2024年7月5日更新のCommunity Licenseは、条件付きで無償の商用ライセンスを設けています。この規約の適用を受けて直接商用利用する者には登録等の条件があり、本人・関連会社の年間収益が個別または合計で100万米ドルを超える場合にはライセンスが終了し、別のライセンスを求める必要があるとしています。モデル由来の収益だけを数える規定ではありません。他方、ライセンス取得者の統合製品のエンドユーザーには、III節の適用除外があります。
同じ規約は、当事者間では法の許す範囲で出力を利用者が所有するとしつつ、非侵害等を保証せず、法令と利用方針への遵守を求めます。これは第三者の作品や人物を自由に使える許諾ではありません。「有料で利用した」という事実だけでも、その許諾は得られません。
この説明で言えないこと
この掲載規約を、同社の全製品・全モデル版、別の契約、他社のサービスに一般化できません。収益が基準内なら出力が必ず適法、という意味でもありません。利用時の対象モデル・契約・改定日を特定して判断する必要があります。権利配分の条項だけで日本法上の著作権が新たに生じるわけでもありません。
適法な利用の例
商用利用を認める適用ライセンスの条件を満たし、必要な権利を持つ素材で作った第三者の権利を侵害しない挿絵を、商品説明に使うことが考えられます。外部の素材を含む場合には、AIサービスの契約とは別に、その素材の商用利用・加工の条件も確かめます。
一次資料のどこに書いてある?
- Stability AI『Community License Agreement』(本文の更新日2024-07-05、2026-10-05確認):I節(対象)、III節(商用ライセンス・登録・収益・エンドユーザー)、IV(b)(法令・利用方針)、IV(c)(iii)(出力の権利配分)、IV(d)(非侵害等の保証をしない旨)、V節(モデル・派生物の定義)。出力はV節のモデルの派生物の定義から除外され、モデル自体の再配布と同一ではありません。
- 著作権法:63条1・2項(許諾と利用方法・条件の範囲)。日本で第三者の著作物の許諾を得て使う場合の条文であり、上記企業の規約の準拠法を日本法とする根拠ではありません。