よくある誤解 / 11
EUのAI法は、生成AIによる創作を全面禁止した?
結論
EUのAI法は、生成AIによる創作を一律に禁止する法律ではありません。
もう少し詳しく
EUのAI法は、生成AIによる創作を一律に禁止する法律ではありません。 禁止される用途、提供者が負う義務、利用する側の開示義務を分けて読む必要があります。これはEU制度の説明であり、日本法の結論ではありません。
なぜ「規制があるから全面禁止」とは言えないのか
5条は、一定の有害な操作、社会的スコアリング、無差別な顔画像収集による顔認識データベースの作成など、具体的な禁止行為を列挙しています。一方、53条は汎用AIモデル提供者の著作権対応方針や学習内容の要約公開を、50条は一定の生成内容の表示・開示を定めます。義務を課して利用を規律することと、すべての創作を禁止することは異なります。
適用時期も一つではありません。公式掲載の2026年7月27日統合版では、原則の適用日は2026年8月2日、汎用AIモデルに関する章は2025年8月2日です。2025年8月2日より前に市場へ出た汎用AIモデルには、2027年8月2日までの経過措置があります。高リスクの要件にも別の日程があり、「すべての義務が同時に全面適用された」という説明はできません。
この説明で言えないこと
EUでどんな生成・公開も合法、という意味ではありません。著作権、個人データ、加盟国法などの検討は残ります。適用対象の事業者・システム・行為を特定しないと、義務の有無も判断できません。
適法な利用の例
必要な権利を確保した素材で架空の挿絵を制作し、適用される提供者側・利用者側の義務、著作権や個人データの条件を満たして利用することが考えられます。創作物の開示方法には50条4項の配慮がありますが、創作ならすべて免除されるわけではありません。