よくある誤解 / 03
AIを使った作品には著作権がなく、自由に転載できる?
AIを使っただけで、作品の著作権がすべて失われるわけではありません。
もう少し詳しく
AIを使っただけで、作品の著作権がすべて失われるわけではありません。 日本では、人間の創作的な関与を個別に検討します。「AI使用」の表示だけを理由に、作品全体を自由に転載できるとは判断できません。
なぜ「AI使用なら無権利」とは言えないのか
著作権法2条は、著作物を思想や感情の創作的な表現と定義しています。文化審議会の整理でも、一部にAI生成物を使ったとしても、人間が創作した他の部分まで著作物性が否定されるわけではありません。人間が創作的な加筆・修正をした部分は、通常、保護されると考えられています。
生成部分については、指示の内容、出力を確認して指示を修正した過程などを総合して、創作的寄与を判断します。長いプロンプトでもアイデアにとどまるなら十分とは限らず、試行回数の多さや単なる出力の選択だけでは創作的寄与を示しません。手間をかけたことと、具体的な表現を創作したことを区別する必要があります。
米国については、米国著作権局の2025年報告が、純粋なAI生成部分と、人間の独創的な表現・構成・改変を区別しています。AIを補助に使ったこと自体は保護を妨げず、現行技術ではプロンプトの提供だけでは通常十分でないと整理しています。これは米国法についての行政機関の報告であり、日本の作品を直接判断する基準ではありません。
この説明で言えないこと
すべての出力に著作権がある、プロンプトを書けば必ず著作者になる、という保証ではありません。創作的に加筆した部分が保護されても、それだけで他の生成部分まで保護されるわけではありません。サービス規約の「出力を所有する」という取り決めだけで、法定の著作権が新たに生じるわけでもありません。
利用例として、自分が権利を持つ原稿にAIによる加工を取り入れ、さらに創作的に描き直す制作があります。反対に、転載する立場なら、人間の創作部分や元となった第三者の作品の権利を確認する必要があります。生成物自体の著作物性と、既存作品を侵害していないかは別の問題です。
一次資料のどこに書いてある?
- 著作権法:2条1項1・2号(著作物・著作者)。
- 文化審議会法制度小委員会『AIと著作権に関する考え方について』(2024-03-15):本文pp.39–40。人間の創作部分、指示・試行・選択、加筆修正。裁判所を拘束する判断ではありません。
- 米国著作権局『Copyright and Artificial Intelligence, Part 2: Copyrightability』(2025-01-29):Executive Summary pp.ii–iii、§II(人間の創作的関与)。