生成AIのよくある誤解

よくある誤解 / 32

作品を参照(リファレンス)としてAIに入力するのは、学習?

結論

参照としての入力は、学習ではありません。

更新:2026-10-27(日本時間)

もう少し詳しく

参照としての入力は、学習ではありません。 文章や画像を生成の指示と一緒に渡すと、AIはそれを手がかりに出力を作りますが、モデルの重みは変わりません。手元の絵の道具で画像を開くのと同じく、入力は作る前の準備です。法律の整理でも、入力は開発・学習の段階ではなく、生成・利用の段階の行為として扱われています。問題になりうるのは、作ったものを公開するときに、既存の作品に似ている場合です。

なぜ学習と別なのか

画像では、Diffusersの公式の説明が、画像から画像を作る処理を、プロンプトに加えて初期画像を渡し、拡散の出発点にするものと説明しています(仕組みは解説05)。人物や画風の参照によく使われるIP-Adapterも、公式の説明では、学習済みのモデルを固定したまま参照画像で生成を導き、ファインチューニングなしで被写体や画風を合わせる仕組みです。

文章では、言語モデルに例や資料を示して課題を解かせる使い方について、GPT-3の論文が、勾配の更新もファインチューニングもせず、課題と例はモデルとの文字のやりとりだけで示す、と書いています。「文脈内学習」と呼ばれることがありますが、モデルの重みは変わりません。

法律の整理では、文化審議会の「考え方」が、生成の指示のための入力を、生成・利用段階の論点として扱っています。入力は情報解析として30条の4の適用が考えられること、入力した作品に似たものを作らせる目的なら30条の4は適用されないこと、その場合も私的使用目的の複製(30条1項)などの権利制限規定が適用されうること、生成と利用は行為ごとに検討することが書かれています。自分で楽しむために本文を貼って別の版を書かせる、キャラクターの絵を見せて挿絵を作る、といった使い方は、学習ではなく、公開しない限り許諾を前提にしていません。

公開するときは、AIを使わない創作と同じく、既存の作品との類似性と依拠性で侵害かどうかが判断されます。入力に使った作品は依拠の手がかりになりうるので、公開するなら、その作品の決まり(ガイドライン)に従い、似すぎていないかを確かめます。

AIサービスやアプリが特定の入力や生成を断ることがあるのは、それぞれの方針や利用規約によるもので、入力そのものを法律が一律に禁じているからではありません。「考え方」は、事業者が既存の作品の類似物の生成を防ぐ措置をとっていれば、事業者が侵害の主体と評価される可能性は低くなる、と整理しています。

この説明で言えないこと

入力して作ったものを公開してよい、とは言えません(解説31)。サービスが入力を保存し、後で学習に使うかどうかは、サービスごとの設定と規約によります(解説14)。IP-Adapterのような参照の部品そのものは、開発者が事前に学習させたものです。ここで言えるのは、利用者が参照を渡す行為がモデルの学習ではない、ということです。日本の外の法律は確かめていません。

一次資料のどこに書いてある?

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