よくある誤解 / 25
自分が持つ資料なら、個人情報をAIサービスへ入力してよい?
資料を持っていることや著作権上の許可だけでは、個人情報を外部サービスへ入力してよいとは判断できません。
もう少し詳しく
資料を持っていることや著作権上の許可だけでは、個人情報を外部サービスへ入力してよいとは判断できません。 誰のどの情報を、誰が、何の目的で入力し、サービス側がどう扱うかを確認します。学習への利用をオフにする設定だけでも、すべての確認は終わりません。
なぜ所有や学習設定だけでは足りないのか
個人情報保護委員会の注意喚起は、個人情報取扱事業者、行政機関等、一般利用者を分けています。事業者が個人情報を含む指示を入力する場合は、特定した利用目的に必要な範囲かを確認します。本人の同意なく個人データを入力し、応答の出力以外の目的で扱われる場合には法違反の可能性があるとして、機械学習に利用しないこと等の確認を求めています。
個人情報と個人データも、法律では同じ言葉ではありません。個人情報は生存する個人を識別できる情報等で、個人データは個人情報データベース等を構成する個人情報です。顧客一覧などを扱う事業者には、利用目的、安全管理、委託先の監督、第三者提供や外国への提供など、それぞれの規定の検討があります。委託に該当する場合等もあるので、外部入力を一律に「同意が必要な第三者提供」とするのも正確ではありません。
一般利用者についても、委員会は、入力した個人情報が学習に使われ、正確又は不正確な形で出力されるリスクや、規約・プライバシーポリシーの確認を挙げています。ここから、すべての入力が即座に公開されるとは言えません。実際の保存・利用・提供の条件を確認する必要がある、という説明です。
この説明で言えないこと
氏名を消せば必ず個人情報でなくなる、学習をオフにすれば保存も人の閲覧もなくなる、という保証はありません。他の情報と容易に照合して個人を識別できる場合もあります。特定サービスの現在の保存先・期間・閲覧者・委託先は本稿では未確認です。著作権の許諾、秘密保持の約束、個人情報の取扱いは別に確認します。本人の同意があれば、ほかの条件はすべて不要という説明でもありません。
具体的な利用例
問い合わせへの返信文の型だけを検討したいなら、実在の顧客資料を渡す代わりに、実在人物と結び付かない架空の問い合わせを作って入力する方法が考えられます。実データが必要な業務では、利用目的、契約・設定、委託や提供の関係、必要な同意等を確認し、認められる必要な範囲で扱います。生成された返信の事実関係も人が確認します。
更新日
2026-10-05(日本時間/JST)更新。
一次資料のどこに書いてある?
- 個人情報保護委員会『生成AIサービスの利用に関する注意喚起等』(2023-06-02):p.2、(1)①・②(事業者の利用目的・応答以外の取扱い)、(2)(行政機関等)、pp.2–3、(3)①〜③(一般利用者のリスクと規約等の確認)。本稿はこの注意喚起の対象を区別し、一般利用者に事業者の義務をそのまま当てはめていません。
- 個人情報の保護に関する法律(日本):2条1項(個人情報)、16条3項(個人データ)、17・18条(利用目的とその制限)、23・25条(安全管理・委託先監督)、27条1・5項(第三者提供と委託等)、28条(外国への提供)。同意や例外等の適用は具体的な条件に応じて検討します。
- 個人情報保護委員会ガイドラインに関するQ&A・Q7-53(2026-10-05確認):クラウド事業者が個人データを取り扱うこととなっているかによる、第三者提供・委託等の区別。保存だけのサービスについての説明を、入力を処理するAIサービスへ無条件に当てはめることはできません。